両神山登山レポ 鎖場天国の八丁尾根コース
約1年前の2017年11月下旬、両神山八丁尾根コースの登山レポです。本格登山未経験の2人で上級者向けの八丁尾根コースを登った記録です。
両神山について
両神山(りょうかみさん)は埼玉県秩父郡小鹿野町と秩父市の境目にある山。奥秩父山塊の北部にあり、標高は1,723m。日本百名山の一つ。Wikipediaより引用
両神山のルートは3つ
- 八丁尾根コース(上級) 八丁トンネル登山口 or 上落合橋登山口
- 日向大谷コース(中級) 両神山荘から
- 白井差新道コース(初級) 有料?
八丁尾根コースはスタート地点が2箇所あります。
国道299から車で上り、トンネルの手前が「八丁トンネル登山口」になります。
行ったときは11月下旬だったのでトンネルは冬季通行止めになっていました。
トンネルの先には上落合橋登山口があり、こっちのほうがコースタイムは短いらしいです。
どちらのルートも途中で合流し、八丁峠に繋がっています。
八丁尾根コースは鎖場だらけ
八丁尾根コースは鎖場が多数存在します。八丁トンネル登山口は開始早々に鎖場が。
鎖場といっても、鎖に頼らなくても登れるところがほとんどです。
「妙義山の鷹戻し」のような切り立った崖のような箇所もなく、恐怖感はありません。
天然のアスレチック感覚で登っていくことができ、子供や若い人はとても楽しいと思います。
八丁尾根コースが上級者向けである理由は鎖場だけじゃない
このコース、スリリングな鎖場が多数あるということで、上級者向けコースとなっています。
ですが私は鎖場よりも、登山道そのものの難易度が上級者向けであると感じました。
ルートが非常に分かりにくいんです。
とても登山道と言えたもんじゃないような場所がいくつもあり、手がかりは木に巻いてあるピンクテープのみ。
実際に何度も迷いました。
・鎖場の登攀技術
・ルートファインディングの難しさ
この2点が上級者向けである理由だと思います。
登山ほぼ未経験がいきなり両神山に登ることになった
今回の登山のきっかけ
当時私は大学4年の秋。車を買って毎週のように頭文字Dの聖地巡礼に行っていた頃でした。
高校の同級生のN氏も同じく車好き。半年に1回くらいでどこかに遊びに行っていました。
N氏から「鎖に捕まって岩登れる山がある」というLINEが。
少し調べると、どうやら「鎖場」がある山がいくつかあるということを知りました。
当時の「登山」のイメージは、「山の中を何時間も歩いて何が楽しいんだろう・・・」という感じでした。「鎖場」なるものがあることなど知らず、「天然のアスレチック」みたいで興味が湧いてきました。
両神山よりヤバい!?妙義山登山レポートはこちら!
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両神山に決めたわけ
初めての本格登山で両神山八丁尾根コースを登るというのはハッキリ言って無謀です。やめたほうがいいです。登山経験が増えてきた今だから言えることですが。
なぜ両神山、八丁尾根コースに登ることにしたのかというと、
- 鎖場でスリルを味わいたかった
- 上級者向けと言っても意外となんとかなる。と思い込んでいた。
- 日向大谷コースよりコースタイムが少し短い
- 山をなめていた
- 若気の至り
などの理由からです。
今回は大きなトラブルなく戻って来られましたが、なんの知識もない状態でよく登ったなと思います。さらに、当日まで現地の天気予報は雨。本当に何もなくてよかったと思います。
当日の服装、持っていったもの
未経験とはいえ、それなりに考えて準備はしました。
当日の気温は最低-2℃,最高9℃ 雨のち晴れの予報
実際には雨は降らず、快晴でした。
服装、持ち物はこれです。
服装
- ヒートテック
- 混綿の長袖Tシャツ
- 大学生がよく着ているジャケット風のカーディガン
- ワークマンのソフトシェルもどき
- ヒートテック極暖タイツ
- ワークマンの防風ストレッチパンツ
- ハイカットの防水靴
持ち物
- 布製の四角いリュック
- 作業用手袋
- 化繊のインサレーション(バイク用)
- 水500ml
- サーモスにセブンイレブンのホットコーヒー
- おやつ
- おにぎり
上半身は特に問題ありませんでしたが、登山開始して10分くらいで下半身が暑すぎてタイツ脱ぎました。
登山がこんなに運動量多いものだとは知らず、すぐに汗だくになってしまいました。
後から分かりましたが、ワークマンの防風パンツの透湿性の悪さも影響していたようです。
最近ワークマンがららぽーとに出店したり、一般人向けにも認知されてきていますが、全てが良いわけではありません。
私も一時期ワークマンにハマっていて、いろいろ買いました。
全般的に言えることは、透湿性(通気性)の悪さです。
登山向けと書いてあっても実際の登山では使えない商品も多いので、注意が必要です。
登山地図、コンパス、レインウェアなどは持っておらず、万一の際をなにも考慮していません。
低山とはいえ登山者も少なく、登山道の整備もあまりされていないので最低限地図だけは持っていくべきでした。
登山当日
東京郊外から両神山へ。東吾野付近のコンビニで友人N氏と合流。そこから秩父に向けて走ります。
志賀坂トンネルの手前を左に曲がり、林道に入っていきます。このトンネルを超えると群馬県なので、かなり遠くまで来ました。
林道の途中、あまりに景色が良いので写真撮影
私の車はレガシィB4、N氏はアテンザです。
どちらもマニュアル車。私はもともと車にあまり興味なかったのですが、N氏の影響によりマニュアル車を購入。
マニュアル特有の「意のままに操る感覚」がとても楽しく、本当に買ってよかったと思っています。
駐車場に到着
林道を登っていくと八丁トンネルに着きます。手前には広めの駐車場があり、登山口とバイオトイレがあります。
本当はトンネルを超えて上落合橋まで行く予定でしたが、通行止めで通れませんでした。
熊出たらどうすればいいんでしょうか。登山届を提出して登山開始です。
さっそく道迷い
開始早々、道なき道を進みました。
木の根と岩と落ち葉で非常に歩きにくい。手足4本で登っていきました。
初めての登山で最初から、「登山ってこんなにハードなのか・・・」と、勘違い。
未整備の山を全身で這い上がっていく感覚がとてもワクワクして、夢中で登っていました。
ピンクのリボンを頼りに進むという知識はあったのですが、あまりに夢中になっていたので途中から道を間違えていました。
そもそもこのルート、「方向だけ示してあげるからあとは自力で登ってね」という感じのルート。
リボンからリボンまでの道は自分で考えて進まなければいけません。
ふと気がつくと、どこを見てもリボンがない・・・
どこかで見失ってしまったようです。
少し登れば見えるだろうと、そのまま上を目指して違う方向に進んでいました。
どんどんハードになっていく登り。もはやクライミングの領域でした。
視界が開けるところに来ましたが、明らかにこの先続いていない・・・
仕方なくリボンが見えるところまで戻り、次のリボンを見つけました。
八丁峠
「急な岩場が多く、くさり場の続く難コースで、初心者向けではありません。」
この看板まで来れたならこの先問題ないと思います。ここからが楽しい岩登りです。
長い鎖場ですが斜度があまりないのと、視界が開けていないので恐怖心はまったくありません。
鎖はあくまでも補助。基本は3点支持で登ります。
大小含めて20箇所以上は鎖がありました。
ピーク付近の鎖場は、斜度が急だったり、岩と岩の感覚が遠く、かなり手足を伸ばさないといけないところなどもありました。
最初のピークに到着
登山開始から2時間くらいで最初のピークに到着
見渡す限り山。まさに大自然。風の音、鳥や動物の鳴き声が聞こえます。
これまでも山にドライブに行ったり、大自然を感じられるところには行っていますが、ここまで秘境感があるのは初めてです。
ここを山頂とする!
あまりの美しさと、鎖場の満足感から、「もうここ山頂でよくね?」ということでN氏と合意
持ってきたご飯とおやつを食べて、下山することにしました。
そもそも今回は鎖場を登ることが目的。
山頂と標高はあまり変わらなそうというのと、ここから先に行くには一旦下ってまた登るということもあり、景色もあまり変わらないだろうということで、今回はここが山頂です。
下りは鎖場地獄だった
登りは鎖場天国。全身を使って登っていくのがとても楽しい。
しかし下りは・・・
下を見るとそこそこのスリルがあり、登りより慎重になります。瞬発力より筋持久力を使う感じで、登りより圧倒的にキツい
頑張って下ります。
鎖場は下りはまだマシです。
本当にキツいのは序盤の森の中
木の枝に捕まって登ってきたところを、今度は下らなければなりません。
足を掛けた枝が脆くて転けそうになったり、斜面が急過ぎて止まらなくなったり。
N氏はほぼ滑りながら下りていましたが・・・
そういえば、他の登山者はだれもいませんでした。駐車場には他に2台停まっていたのですが・・・
下山後、山梨へ
ほったからし温泉に行きたくて、山梨方面に向かいました。
雁坂トンネルを通ります。暗くてひたすら一本道のトンネルは登山帰りにはキツかった・・・
私もN氏も長距離運転は慣れているのですが、これほどキツかった道はありませんでした。何回意識が飛びそうになったか・・・ 実際何回か意識飛んでました。
ほったらかし温泉に到着。山梨の夜景が綺麗でした。
山梨といえばほうとうですよね。
近くにあったほうとう店でいただきました。
ほうとうのお店はいくつか行ったことがありますが、ここはなかなか美味しかった。
登山を終えて
今回初めての登山でしたが、岩登りの楽しさに気づいてしまいました。
装備も適当で知識もない状態で登るのは本当に危険ですが、一度でも本格的な登山をしたことがあれば、ぜんぜん問題なく行けるコースでした。
冒頭でも触れましたが、鎖場が多いことよりも、序盤のルートファインディングの難しさのほうが難易度を上げている要因だと思います。
鎖場がある山は他にもたくさんあるようですが、鎖場好きならこのコースは絶対に楽しいです。
この後、妙義山、乾徳山にも登っていますが、どこが一番楽しいかと聞かれたら両神山と答えます。
- 妙義山 ・・・ 鎖場の難易度が高すぎる。楽しさよりも恐怖感が強い
- 乾徳山 ・・・ 「登山好き」にはおすすめだが「鎖場好き」としては物足りない
- 両神山 ・・・ 鎖場の難易度が中くらい。恐怖感はあまりなく、楽しさがある
以上、初心者の両神山登山レポでした。